かれこれ10年近くも前、「税金も年金保険料も払わない専業主婦は社会のお荷物」なんていう人がいて、大論争になったことがあった。
当時、私はバリバリ働くキャリアウーマンぶってたから、その主張に激しく同意していた。
しかし世の中が、こうもストレス社会になり、うつ病の人が増えている現状を見ると、少し余裕のある専業主婦の存在が、とても重要になっている気がする。
かつて私は、「家庭は二の次」で、仕事やキャリアアップの勉強に励んでいた。だから家事が山積みになっていると、家でのんびりしていた夫に「なんで台所ぐらい片付けてくれないのよ!」とか、キーッとなることがとても多かった。当時は夫の仕事もとてもハードだったので、休みの日に家事をするパワーすら残っていなかったのだと思う。でも私も余裕がなかったから、そんなところにまで考えが至らなかった。
そんなことで、ずいぶんキーキーしたように思う。
その後、私は正社員を辞めて軽い仕事になり、生活費を1割しか負担しない代わりに家事の全てを請け負うことにした。お金の負担が減って自分にも納得感ができたし、自分にも余裕ができていたから、以降は快く家事を引き受けている。夫もずいぶん楽になったようだ。
考えてみたら、外で大変な仕事をしているのだから、家ではのんびりしたいと思うのも当然だし、家が「安らぎの場」にならなければ、外で頑張ることもできない。「安らぎの場」は、誰にでも、絶対に必要なものなのだ。
これで子供がいたら、専業主婦でないと(専業主婦であっても)厳しいだろうなぁと私は思うようになった。
小学生の男の子を持つ友人のご主人が少年サッカーのコーチをしている。
そのご主人に毎週、嬉しそうに話しかけてくる男の子がいるそう。友人はその子を見て、「あの子の親は何をしているんだろう?きっと子供の話なんてろくに聞いてないんだろうな」と思ってしまうそう。父親だけでなく母親も忙しいに違いない。
子供にだって安らぎの場は必要だし、自分の話を聴いてくれる親の存在は絶対に必要だ。そんな親の存在が、子供に自信をつけさせるように思う。そして自分に自信を持つことは、何をするにも絶対に必要だと、大学生のキャリアカウンセリングを通して実感している。
これらのことから、家族のことをどーんと受け止める専業主婦の存在が、いま、とても大事になっているのではないかと思っている。
そんな専業主婦になるには、その人自身が「自分は家族のために、自らの意思で専業主婦をやっている」という強い自己認識を持つことが必要だと思う。
結局のところ、自分が働こうが専業主婦をしようが、「自分が何故この仕事をしているか」ということと、「誰にやらされているのでもなく、自分が選んでいる」ことをしっかり認識することが、周りに影響されない「ブレない・強い自分」を作るのだと思う。