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ニュース解説☆日本年金機構:長期派遣受け入れ 労働局が是正指導

昨日の毎日.jpに掲載された記事。
「日本年金機構:長期派遣受け入れ 労働局が是正指導」

「年金の加入や脱退の届け出などをパソコンで入力する仕事」は、東京労働局では「数字や文字の単純入力で、専門26業務中の「事務用機器操作」に該当しない」と判断された、ということです。

いま、事務職での派遣は殆どの人が「5号:事務用機器操作」で派遣されていると思います。
その方々に、影響が出てくるのではないか、、と思われる記事、そして措置です。

派遣法が制定された当時、パソコンはまだ普及しておらず、パソコンを使う仕事は「専門的な仕事」とされ、「派遣期間の定めがない、専門26業務」の5号業務と定められました。

しかしその後、パソコンは一般的なモノとなり、「パソコンを使う」ことは「専門的」とは言えなくなってきて、派遣法が世の中の実態と合わなくなってきたのです。
しかし派遣会社は、「パソコンを使う業務なら5号業務」と解釈し、パソコンさえ使えば期間の定めなく派遣してきたし、企業も同じ解釈で派遣社員を受け入れてきました。

それが、リーマンショック以降、「派遣という雇用形態が悪」とでも言わんばかりの世の中の風潮と世論の高まりによって、労働局も派遣の監査などを強化してきました。
その中で、いま、「5号業務の解釈」がクローズアップされていて、パソコンを使う業務でも、専門的な知識を必要としない、単なる入力などであれば、5号業務とみなされず、最長3年の「自由化業務」とみなされる、というケースが増えています。

企業に派遣されている人で、庶務的な仕事をしている人は、パソコンを使うといってもメールや会議室の予約など、専門知識を必要としないものが多いのではないかと思います。
それが5号業務と認定されず、自由化業務になると、企業はその人を直接雇用しなければならなくなるので、
1.3年になる前に契約を切られる
2.業務委託に切り替えられる
3.契約社員など非正規で直接雇用される
のいずれかになると思います。
1なら失業することになり、2や3の場合も給与が下がることが多いので、派遣スタッフさんにとってはデメリットでしかない訳です。

でも、世の中の風潮は「派遣は悪」「企業は労働者を直接雇用すべき」みたいな感じになっていて、政治家たちも実態を知らずにそう思って行動しているので、派遣は規制が強化されています。
そして、それによって職を失う人が出てきたり、派遣で時給1600円もらっていた人が直接雇用に切り替わって時給1300円になったりしているのが実態です。

今回は年金機構という、厚生労働省管轄の機構だったから記事になりましたが、記事にならない、同じようなケースはいくらでもあるだろうし、今後もたくさん出てくると思います。

確かにデタラメな派遣会社も多いので、「派遣は悪だ」という人がいるのも仕方ないと思いますが、善良な派遣会社もあり、そこで安定的な雇用と給与を得て働いている派遣スタッフさんも大勢いること、このような措置はそういう人たちから仕事を奪うことになりかねないということを、広く知って欲しいなと思います。
by kumikokubo | 2010-06-16 14:46